ある資産家の高齢女性が惨殺され、金銭目的の線で捜査が進められる。
しかし、飼っていたはずの犬が見つからず──犯人を追う中で変化していく人間模様。
果たして悪人は本当に悪人で、善人は善人なのか?白黒つけてしまうことの危うさ。
時折挟まれる犬目線の独白も効果的で、そして切ない。
自分では常識的だと思っている人間ほど道を踏み外したり、みんなから白眼視される人間の内側が誰よりもピュアだったり。
人間というのは兎に角ややこしい生き物だなあ、と溜息が出る。
犬の方がよっぽど真っ直ぐだ。
シロのその後が幸福なものでありますように。
