連作ミステリ。
水泳選手として恵まれた肉体を持ちながら努力せず、享楽的なのにも関わらず、男女問わず慕われていた綾部は何故自殺したのか。
第一話の猫堂のノリについてゆけず脱落しかけたが諦めずに読んだ。
それぞれの信じる宗教、それぞれのジハード。
思いが届かないこと、生まれてきてしまったことにどう折り合いをつけるか。
プールの匂いやウサギ、源氏物語といったモチーフが効果的に織り込まれている。
狐塚教授は一体何者だったんでしょうねえ。
全部をハッキリさせないのに清々しい気持ちで読み終えることができた、不思議な読書体験でした。