親の事情に振り回される由井。
背が低い由井と背の高い桐山。
大きな掌の高山に惹かれるミカ。
加奈子は桐山を好きだった。
由井の夫の雄一と娘の可子。
それぞれの人生が波のように押し寄せてくるようだった。
大人に裏切られ続けられ、誰に対しても閉じていた由井が、安以子さんと幸太郎に会いにゆき、昔届くはずだった手紙を20年以上たって受け取った時、フワッと緩んだのがすごく救われる心持ちになった。
切ない以上にしんどい(貧困とかそれにからむ人間の醜さとか不倫にはしる心理描写とか不倫される側の憤りとか)本だったけど、読んで良かった。