岩下悠子

漣の王国 /岩下 悠子

連作ミステリ。水泳選手として恵まれた肉体を持ちながら努力せず、享楽的なのにも関わらず、男女問わず慕われていた綾部は何故自殺したのか。第一話の猫堂のノリについてゆけず脱落しかけたが諦めずに読んだ。それぞれの信じる宗教、それぞれのジハード。思い...
安壇美緒

ラブカは静かに弓を持つ /安壇 美緒

チェロみたいな物語だった。人の声の音域に近く、耳によく馴染む。体に染み渡ってくる音楽を聞いているような感覚が心地よかった。中学生の頃、唯一の心の拠り所だったチェロ。その教室帰り、誘拐未遂に遭った橘は人との間に分厚い透明な壁を築くことで自分を...
新川帆立

倒産続きの彼女 /新川 帆立

ぶりっ子キャラを演じて男を手玉に取る女弁護士・美馬玉子が「転職するたびに必ず企業が倒産する」女性の謎に挑む。粗筋だけでもう面白いの確定。お金より命の方が大事!っていう、当たり前の事を、人間追い詰められると忘れちゃうんだろうな…。と、ゾッとさ...
森バジル

なんで死体がスタジオに!? /森 バジル

なんでか死体がスタジオに置いておかれちゃうお話。ドジなプロデューサー・幸良は本番直前に、出演予定だった大御所俳優の死体をスタジオで見つけてしまう。なかなか趣味の悪い(と私は思う。)生放送番組「ゴシップ人狼」をやりおおせる事はできるのか?ドタ...
伊藤絵美

セルフケアの道具箱 /伊藤絵美

精神医療の現場で行われている心理療法を、ひとりでできる範囲内でめっちゃ噛み砕いて説明してくれる本。認知行動療法やコーピング、マインドフルネスって言葉の響きはムズカシイけど、ほうほうこういうことなのね。日々のルーティーンに取り入れられそうなこ...
町田そのこ

星を掬う /町田 そのこ

母に「捨てられた」千鶴は早くに父親も病で亡くし、DV夫に搾取され、勤め先のパン工場の廃棄パンでなんとか生きていた。ラジオ番組へ投稿した母との思い出話が、母の今の娘、恵真の耳にとまり、再会へ。しかし母は若年性認知症を患っており…。もはや自身の...
芦沢央

魂婚心中 /芦沢 央

SF多めの短編集。うーん、芦沢さんはやっぱりミステリかホラーの方面がお強いんじゃないでしょうか…。色んな挑戦を見守りたい気持ちも勿論ありますが、いつものぐいぐい引っ張り込んでくれる感じが味わえず、残念。お得意のリアリティのあるイヤミス、怖い...
芦沢央

<ネタバレあり>いつかの人質 /芦沢 央

12年前に誘拐(間違えて連れてきてしまった場合も法律的には誘拐に分類されるんですかね、やっぱり。そして一瞬目を離した母親が非難されるこの世の中。)された愛子は、視力を失う。そして再び、初めて親の介助無しで友だち(だとも思えないけど)と共に訪...
浅倉秋成

俺ではない炎上 /浅倉 秋成

ネットの炎上で殺人犯に仕立て上げられる話。こっっわー。(こんな変な日本語使ったら怒られちゃうんかな 笑)してやられたり。まんまとミスリードのお誘いに引っかかり、派手に騙されました。でも一回読んだだけでは理解できなかったので、分からなかったと...
万城目学

六月のぶりぶりぎっちょう /万城目 学

中編二編。『三月の局騒ぎ』北白川の古ーい女子寮には14回生以上(?!)の住人「キヨ」が居る、という噂を聞き、「坊っちゃん」ファンの若菜は心を踊らせるが、果たして。『十二月の都大路下ル』を先に読んでおいた方が楽しめるかもしれない。『六月のぶり...