穂村弘

彗星交叉点 /穂村 弘

歌人である著者曰わく「偶然性による結果的ポエム」についての考察、らしい。なんだかそう言われると小難しく感じるけれど、思わずニヤリとしてしまう日常で出会った言葉や文章たちが著者ならではの感性で綴られている。一章ずつがすごく短いこともあり、長い...
伊吹亜門

焔と雪 京都探偵物語 /伊吹 亜門

大正の京都。元刑事の鯉城と伯爵家の息子でありながら病弱で、家から出られない露木。第三話までは安楽椅子探偵・露木の面目躍如といったところだが、第四話でがらりと趣向が変わる。城塚翡翠を思い出してしまった。「あなたは探偵の推理を推理することができ...
Jam

多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。/Jam

タイトルが秀逸過ぎる。久しぶりにメンタル系の本を手に取ったら第一章がSNSとの付き合い方で、(そういう時代なのかー、みんなそんなにSNS気にしてるのか?)と思ったが、作者さんの職業柄(ゲームのグラフィック、マンガ、イラスト)それは気になって...
町田そのこ

コンビニ兄弟3 /町田 そのこ

推しって人生を左右するよな…と、遠い目になっちゃう三編収録+α。ツギ率高め。フェロモン店長だけでなく、他のキャラもどんどん「らしさ」が濃くなっていくのが楽しい。グループでの自分の立ち位置に悩むアイドル采原、遥かたぬきの里から別府に結婚相手に...
小野寺史宜

夫妻集 /小野寺 史宜

K談社にどちらかがお勤めの、4組の夫妻の話。夫婦の数だけ悲喜こもごもがあるんだなあ、としみじみ思う。そしてできてしまった溝の埋め方、あるいは埋められないもの、もそれぞれなのだなあ。どの夫妻の話も興味津々(←野次馬!)で読んだけれど、江沢厚久...
万城目学

八月の御所グラウンド /万城目 学

刺すような寒さの中、高校駅伝選手と共に京路を駆け抜ける新選組。茹だるような8月の御所に集い野球を楽しむ、今はもういないはずの若者たち。どちらもとてもよくできたお話。面白くなくはないのに完璧なはずなのに、きれいにまとまりすぎてて印象が薄い。っ...
千早茜

マリエ /千早 茜

40歳目前で円満離婚したまりえ。結婚相談所に登録したり、年下の恋人ができたり、の彼女の日常。特にドラマチックなことは起こらないけれど、離婚をきっかけに「結婚ってなんだろう」ということを考えざるを得なくなったまりえの心模様が緻密に繊細に描かれ...
一木けい

9月9日9時9分 /一木 けい

姉へのDVが元で離婚した夫の弟に恋をしてしまう、という、小説かよ。(小説だよ。)と思わず突っ込みたくなる設定なのに謎のリアリティがあってグイグイ引き込まれた。漣よ、いくら無知でも、精神を病んでしまうほど追い詰められた姉とそれを支える両親に向...
ピーター・スワンソン

だからダスティンは死んだ /ピーター・スワンソン

まず1ページめくって登場人物の多さに怯む。だけど各キャラの性格と職業のせいか、すんなり覚えられた。海外文学、いつもは読むのにすごく時間がかかるけど、割とサクサク読めた。中盤あたりまでは緊張感があって良かったんだけど、後半は「ふ~ん」って感じ...
新井見枝香

胃が合うふたり /千早 茜,新井 見枝香

「胃が合う」作家とカリスマ書店員が2人で食べに行った時のことを書いたエッセイ。同じ所で同じものを食べているけれど、視点が違うのが楽しい。もっとほんわかした感じかと思いきや、なかなかどうして、異種格闘技(真面目に観たことないけど、イメージとし...