血のにおいがする本。
麻薬密売組織の支配する故郷から命がけで逃げ出したルシア、その子どもコシモ。
家族を皆殺しにされた組織のトップ、バルミロ。
赤くどす黒くどこまでも追ってくる暴力と貧困の連鎖。
古代アステカの神話とテスカトリポカの正体。
臓器売買とバイオセンチメンタリティー。
コカインを常用しながら無戸籍児のために働く矢鈴。
彼女がコカインをやめることはできないだろう。
ひとりの人間の中に共存する相反する思考と行動。
ペンダントに彫られたKoshimo y Pabloに無垢な光を感じた。
どうか、いけにえではなく憐れみを。