水たまりで息をする /高瀬 隼子

高瀬隼子

ある日夫が突然、風呂に入らなくなった。ら、私はどうするだろうか。
割と潔癖症寄りなので、熱があっても1日1回はシャワーか風呂に入らないと落ち着かなくて眠れない(幼少期、「風邪だから今日は風呂に入らないように」と無理やり布団で横になっているよう命じられたのは本当に苦痛だった)。
ちょっと想像したくない。

悪いのは夫をなめてかかる後輩や、それを見てみぬふりし、あまつさえスメハラ扱いする会社なのに、と勝手に腹がたってしまった。

優しくて繊細な人ほど息をしにくい世の中で、彼は息をできる水たまりへたどり着けたと思いたい。

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