斜線堂さんの恋愛小説は恋愛小説じゃないので取り扱い注意。
(何言ってるか分からないと思うけど読んだら分かる。多分。)
単品でも大丈夫だけど、「愛じゃないならこれは何」を読んでからの方がより深い地獄に行けます。
『ミニカーを捨てよ、春を呪え』
容姿コンプがあって「良い子」だけが売りの冬美。
ある日恋人の名城渓介がドルオタで、赤羽瑠璃を熱狂的に推していることを知ってしまう。
相手はアイドルだけど、嫉妬が抑えきれない。
自分には絶対似合わないブランド・サンドオリオンの限定ティディベアを愛の証としてねだるけれど。
(この辺りのティディベアとかガラスの靴とかミニカーとかある種の象徴としての小物の使い方が本当に効果的ですっげーってなる。)
ぬーん、どうなんでしょうね…。
彼氏がドルオタだったらどう思うか、作中でも散々議論されるわけですけども、程度によるのでは。(とか言っちゃったら身も蓋もない。)
私は男アイドルの現場も女アイドルの現場も一緒に行ってもらったことあります…。
リビングでガンガン曲かけて、「この表現すごいよねぇ」とか同意を求めてしまいます…。
『星が人を愛すことなかれ』
元東グレの長谷川雪里はVtuber羊星めいめいとしてブレイクを果たす。
が、売れるまでの虚無時代を支えてくれた彼氏・細谷龍人との時間を作ることとの両立が段々億劫になってくる。
さあどっちを取るのか、と言ってもそんなに単純な話じゃない。
帯文にも採用されてる最後の一行、「見ててね。私が最高の人生、使い切るところ」が刺さる。
『枯れ木の花は燃えるか』
東グレのメンバー・希美はメン地下帝ヘンのメンバー・ルイの本カノ。
ある日ルイの「繋がり」が発覚&炎上して、(こいつ、完膚なきまで燃やしてやる!)と決意する。
…のだが、思ってたよりわんさか「繋がり」が出てきて、女同士の不毛な争いが堪能できまーす。
いやもう浮気しても謝ったら許されると思ってるような男やめときな、って言っても渦中に居たら分かんないんだろうな…。
『星の一生』
いちファンである所のめるすけこと渓介のSNSチェックが止められない赤羽瑠璃はある日ついに彼が結婚することを知ってしまう。
それでもめるすけの為に常に理想のアイドルであることを自分に課し続ける。
アイドルという業の深さと恋という名の呪いを燃やし切る、地獄みたいな気分になりたいそこのあなたにオススメの一編。