アンソロジー

空白小説 /氏田 雄介,小狐 裕介,水谷 健吾

誰もが聞いたことのある書き出しと結びの2文の間を埋めて、全く新しい物語を作ろうという斬新なショートショート集。サクッと読めるので、気分転換にどうぞ。流行りの朝活とやらをリスペクトしたような馬鹿にしたような作品、「モーニング・インストーラー」...
辻村深月

ツナグ 想い人の心得 /辻村 深月

前作よりも起伏は少なく、その分、どっしりとした骨のある作品。親に弟子入りを許して貰えなかった、自分でもセンスがないと分かっている、それでも自分はやるんだ、という奈緒の強い信念に圧倒された。これから先何度でも心折れる瞬間があるだろう、それでも...
結城真一郎

救国ゲーム /結城 真一郎

衰退していく一方の地方都市は見捨てて、大都市に税金を注入すべきだ。という主張の「愛国者」が起こす「予告殺人」。閉鎖的な田舎の問題点や、そこで繋がれてきたお金でははかれない人や文化、しかし地方交付税に頼らなければならない現実が、とても切実に問...
降田天

女王はかえらない /降田 天

ミステリー要素よりも、クラス内カースト制度のドロドロとイジメの描写が超絶リアルで、エネルギー吸い取られました…。子どもって、時に大人より怖い(x_x)。現実でも心理戦に関しては子どもの方が複雑かもしれない。ミステリー小説というより学園モノエ...
永井みみ

ミシンと金魚 /永井 みみ

一年と少し前に死んだ、可愛がってくれた祖母を思い出して、少し泣いた。祖母は最後まで痴呆にもならず、腰は曲がっていたけれど、自分の身の回りのことは自分でして、明るくて、大好きだった。祖母の「お迎え」はどんなだったろう。きちんと誰か迎えにきてく...
道尾秀介

<ネタバレあり>いけないII /道尾 秀介

<ネタバレあり>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・前作と同じくらい面白くて救いがなくて、前作より...
凪良ゆう

神さまのビオトープ /凪良 ゆう

死んだ夫の幽霊と暮らす。AIが親友(母親が真っ先に我が子を助けようとするのは当たり前なのに、ロボットがそれをすると「暴走」と定義されてしまうことへの人間の傲慢さについて考えさせられた)。小さな子どもしか愛せない。多分、口に出した途端にどれも...
畑村洋太郎

やらかした時にどうするか /畑村 洋太郎

筆者は今の詰め込み教育を否定しておられるけど、クリエイティブの土台に学校で詰め込まれる知識は結局必要だと思う。(特に専門知識が必要な仕事において。)以下自分用メモ・やらかした!時は何よりもまず自分の心を守る・仮想失敗体験で体験的知識を得る・...
降田天

さんず /降田 天

「ドラマチックに人が死ぬストーリーって売れるじゃないですか」っていうヨルシカの歌をなんとなく思い出した。自殺幇助業者「さんず」の社長は人が自ら死にゆく様を見物するのが趣味という、社会的には許容されない倒錯した嗜好の持ち主として描かれる。では...
岡田尊司

発達障害「グレーゾーン」 その正しい理解と克服法 /岡田尊司

思ったよりあまり一般には知られていないであろう専門用語が多かった。発達障害について知りたい人はもう少し初心者向けの本を読んでから挑戦したほうがいいかも。この手の本は割と色々読んできたけど、今回も絶望と共に答えは1つ。「専門家の診断を受けて適...