井上真偽

ベーシックインカム/井上 真偽

この本はすごい! 「こんな未来はあり得ない」と誰も言えないであろう絶妙な近未来設定、「言われてみれば確かに」と唸らざるを得ない伏線、そしてどんでん返しに次ぐどんでん返し。 そして短編集かと思いきや、からの最終話。 ミステリーとしての完成度もさることながら、登場人物の心のひだも細やかに描かれ、物語としても素晴らしい。 さらに、これから来るであろう科学技術の発展の結果、社会はどう変わるのか?私たちは人間としてどうあるべきか?についても考えさせられる、良著でした。 ミステリー初心者にもオススメです。
三浦しをん

エレジーは流れない/三浦 しをん

めちゃ好きな作家さん(エッセイ含めほぼ全部読んでる)だけど、うーーん??ちょっと、いつもの引き込まれ感が足りない!と思った。 とりあえず全部読んで、そこそこ面白くはあったのだけど…この物足りなさはなんだろう。主人公・怜の最後の青春の叫びにはものすごーく共感したけども。 しかし、慎一って一体何者なの?とか、なんでイルクーツク?とか、謎が置き去り。物足りなさは残るものの、人情味溢れる商店街の描写はあたたかくて、こんな街、日本に現存してほしいなー、と思いました。
芦沢央

許されようとは思いません/芦沢 央

個人的には第二話が一番共感(?)しました。いやいや、普通ありえへんやろ!とツッコミをいれたくもなるのですが、主人公の心理描写がすごく緻密で、ついつい感情移入。同じ立場だったら絶対こんなことはしない!…とは言い切れなくさせるのがすごいなあ。 第三話は子育て中の人は読まない方がいいかも…。「自分は絶対虐待なんてしない」、と誰しもが誓って子どもを産むと思うのですが、その「絶対」がどれだけ脆いものか、手に取るように分かる作品です。子育て中のお母さんの心理が分かると思うので、逆に男の人に読んで欲しいです。
芦沢央

僕の神さま/芦沢 央

第一話ですごーくいい話!感動! で終わらないのがこのほんのすごいとこ。 「神さま」的存在の男の子、の友だち視点で語られているのだけど、 私的には、 神さま的存在 と同級生から言われることに対して、 彼はどう思っているのだろう…、と思って読み進めていました。 ラストあたりでそのあたりも彼の口から語られるのですが、それが全てではないような気もしました。 物語は次作に続く?のかな。期待!