井上真偽

その可能性はすでに考えた /井上 真偽

久しぶりにキレと説得力とテンポの良いミステリーを読んだ。普通に徹夜で一気読みしてしまった。仮説に次ぐ仮説、及びその反証、で話が進むのが面白い。でもこの本の白眉は「人間に奇蹟が可能なことを、証明したいのだ。」という端から見ると変人奇人でしかない探偵(作者)からの訴えかけだろう。そして、自分が助からないと分かっていてなお少女を守り、自分が居なくなった後のことまで考えて行動した少年は間違いなく聖者だと思う。(←これも仮説だけれど、真実だったと信じたい。)血みどろのお話ではあるけれども、最後は心温まる、良書。
矢部太郎

大家さんと僕 /矢部 太郎

最近重い本ばかり読んでたので癒されたくて借りた本。大家さんのキャラが濃すぎて笑いました。戦争や離婚や乗り越えて真面目に生きてこられて、それを嘆くでもなく飄々とし、でもお茶目で、こんなかわいいおばあちゃんになりたいなあ。矢部さんと大家さんの距離感がバグりすぎてて別世界にしか見えないけど、こんなあったかい世界が実在することに救われました。
小野不由美

<ネタバレあり>白銀の墟 玄の月 第四巻 十二国記 /小野 不由美

人がバッタバッタと死ぬ!個人的には朽桟が一番悲しかった。そして狼燦の言動が私には理解不能。え、一番の黒幕だと思うんやが…。単なる好奇心で済まされないことやらかしてるんやが…。許されるのん?(怒) この世界は、「天」の壮大な実験場のように感じる。天上人や泰麒の冷徹さ(これは泰麒の気質や経歴も大きいけれど)は、そこから来るものなのかも。「こういう条件の土地で、こういう王様ならいけるかも」「リーダーの素質がある王様でもダメならいっそ残酷な圧政でどうよ」みたいな。実験に使われる側はたまったものじゃないですけどね…
小野不由美

<ネタバレあり>白銀の墟 玄の月 第三巻 十二国記 /小野 不由美

やっと事態が動き出した!阿選が何を思って行動してきたのか、やっと明かされていく。意外と俗っぽい?ような動機で、でも本人にとってはものすごく辛かったんだなあ…と。(それで幾多の犠牲者を出しているので擁護できないけれども、心情としては分かる)しかし、希望を見つけたかと思うと落胆、の繰り返し、作者の手のひらで踊らされてるなー。ところでこの巻、怪我の描写がすごくえげつなく痛々しいので読んでるだけでこっちまで痛くなります。あと、嬰児の顔の妖鳥ってホラーすぎん?!って思ってたら裏表紙にご丁寧に描いてあって、ギエエエ。
小野不由美

<ネタバレあり>白銀の墟 玄の月 第二巻 十二国記 /小野 不由美

初っ端から泰麒はケガさせられちゃうし、事態は膠着、阿選は何考えてるのかぜーんぜん分からないし、へんてこな様子の王宮…モヤモヤ~モヤモヤ~しているうちに、なかなかツラい展開に…。 私はもう次の巻読み進めてるのですが、発売当初、二巻が出てから三巻が出るまで1ヶ月くらいあったように記憶してるので、発売してすぐ読んだ人はけっこうザワザワした心のまま三巻を待機していたのではないかと(苦笑)お疲れさまです。
小野不由美

<ネタバレあり>白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記 /小野 不由美

読まないと!決めていたのに!!(シリーズ全部読んできたけど最早記憶の彼方だし、読み返してたら壮絶に時間がかかる。)図書館で目があってしまったが最後…。序盤から息を飲む展開。100ページ読んだだけで最早泣ける。それにしても、この小説の登場人物(特に李斎)は、何故人のためにここまで行動できるのだろう。心の中で思いやることはできても、実際に見知らぬ他人(しかも良く思われてない)に、大きなリスクをおかして何かしてあげられる人間は尊い。事態が進展してるようなしてないようなもやっとした感じ満載で次巻へススム。
森博嗣

常識にとらわれない100の講義 /森 博嗣

万人にお勧めはしないけど、自分にない視点をたくさん教えてくれる良書。天才の頭の中はこうなってるんだなあ。理路整然。確かにそうなんだけどね!それは正論なんだけどね!(苦笑)と思ってしまう私は多分「常識にとらわれて」いるのだろう。共感できる部分も多々あったけど、やっぱり凡人は凡人なりにもがいて生きていくしかないのだ。(天才には天才の苦悩があるのだろうけれど、私は凡人なので想像でしかない。)
辻村深月

かがみの孤城 /辻村 深月

ファンタジーだと知らずに読み始めて、「ナルニアのパクりかよ!」と、放り投げてしまいそうになったけど、とりあえず最後まで読ませてしまう作者の筆力に脱帽。家にも学校にも居場所のなかった昔の自分を思い出して胸が苦しくなった。ちゃんとハッピーエンドで終わってくれてホッとしたけれど、現実世界に「お城」はない。こんなにキチンと向き合ってくれる大人が居たり、たとえ居なくても、少しの希望を灯にして困難に立ち向かえる子どもはどれだけいるのだろう。この本を読んで希望を抱ける子はまだ幸せだ。と思う私はつくづくひん曲がってるなあ
宿野かほる

<ネタバレあり>ルビンの壺が割れた /宿野かほる

この本は是非、前情報無しで読んでもらいたい。恋愛小説?ミステリー?と思いながら読み進め、最後はホラー。女目線だとこれは立派なホラー。演劇に燃える好青年の像が密やかにほころびていく様の描き方が見事だった。それにしても、主人公だけでなく、この小説の登場人物、皆少し狂ってないか?も少し自分も他人も大事にしようや…などと偽善的なお説教は無用であろう、この言いようのない昏さ。 (以下蛇足)それにしても、何故、未帆子は返信をする気になったのか謎。私なら絶対無視する!幼女殺人犯の元彼からのSNSのDMなんて怖すぎやろ!
斜線堂有紀

愛じゃないならこれは何 /斜線堂 有紀

地獄じゃないならこれは何。「ミニカー…」多分彼なら許してくれる。「きみの長靴…」妻川がホント無理なんだが(怒)灰羽にも責任はないとは言い切れないが、男性諸氏の目にはどのようにうつるのか。「愛について…」鳴花の気持ち、分からんでもないが…ドリカム構成でうまくいってる友達関係って見たことある方、挙手願います。「健康で…」恋は落ちるもの。趣味が違っても。「ささやかだけど…」園生よりも新太の視点に興味があるけど、もうお腹いっぱいです。お前ら、一生やってろー。こんな「恋愛小説」(?)初めてでした!疲れた!←褒め言葉