宇佐見りん

<ネタバレあり>推し、燃ゆ /宇佐見りん

がんばっても人と同じようにできない辛さはすごくよくわかる。なんでできないの?(できるはずでしょ?何さぼってんの?)と、言われても、どうしようもなくて答えに窮するのも。でも、姉の気持ちもよくわかる。(なんで私は努力してできるようになるまで許されないのに、妹は許されるの?「お姉ちゃん」の役割を勝手に押しつけないでよ!)主人公は、最後、散らばった綿棒(骨)を拾い集めて、その後、できないなりに自分を再構築していこう、と決意をしていたけれど、同じことを繰り返すのは目に見えていて、苦しくなった。
森見登美彦

四畳半タイムマシンブルース /森見 登美彦

四畳半神話体系を読んだのがはるか昔のことなので、多分関係あるこの本を楽しめるのか若干不安を覚えつつも読了。相変わらず阿呆らしい!面白い!青春の素晴らしさとくだらなさ満載、そんな無駄なことにタイムマシンを使うな!と思いつつ、無駄があるから人間って面白いんよなあ…としみじみしてしまったり。森見氏の描く頭いい大学生の内面が実はものすごく悶々としてる感じが好きです。
芦沢央

汚れた手をそこで拭かない /芦沢 央

お金は人をおかしくする。とは昔からよく言われることではあるけども、実はそれはオモテに見えるだけのことかもしれない。お金がなければ生きていけないけれど、お金のために生きてるわけではない(かもしれないし、そうではないかもしれない)。その人の心はその人にしか分からないし、端から見ると理解しがたい行動も、その人には必然の行動であることの方が(多分)多い。短編集でここまでモヤッとした気持ちになれるとむしろ清々しい。
アンソロジー

超短編! 大どんでん返し

某YouTuberさんが紹介していなかったら手に取らなかったであろううすーーい文庫。作家陣が豪華!というだけでミステリー好きの心をくすぐってくるなあ。作家陣がすごいだけにうまい。しかし、この手のショートショートに近いモノは、星新一のほうがやっぱり面白いなあ、と思ってしまった。個人的には恩田陸さんの「トワイライト」が一番好き。読み応えはないけど、短時間で軽く読めるものをお探しの方はどうぞ。
北山猛邦

私たちが星座を盗んだ理由 /北山 猛邦

1話目の「恋煩い」が一番面白かった。「妖精の学校」これは沖の鳥島問題に造詣が深い人にしか分からん!オチの意味をGoogle先生に聞いてしまった。「嘘つき紳士」話の流れとしては嫌いじゃないけど、登場人物の心理描写に深みを感じなかった。「終の童話」割と好き。全員が自分の正義、思いを貫こうとするところが切ない。「私たちが星座を盗んだ理由」主人公の女の子の心理描写は良かったけどミステリーとしてはあんまり…。満月では星が見えないのは知ってる人多いと思う。そして星座にまつわる神話が出てくるけど、あまり本筋に関係ない。
井上真偽

ベーシックインカム/井上 真偽

この本はすごい! 「こんな未来はあり得ない」と誰も言えないであろう絶妙な近未来設定、「言われてみれば確かに」と唸らざるを得ない伏線、そしてどんでん返しに次ぐどんでん返し。 そして短編集かと思いきや、からの最終話。 ミステリーとしての完成度もさることながら、登場人物の心のひだも細やかに描かれ、物語としても素晴らしい。さらに、これから来るであろう科学技術の発展の結果、社会はどう変わるのか?私たちは人間としてどうあるべきか?についても考えさせられる、良著でした。 ミステリー初心者にもオススメです。
三浦しをん

エレジーは流れない/三浦 しをん

めちゃ好きな作家さん(エッセイ含めほぼ全部読んでる)だけど、うーーん??ちょっと、いつもの引き込まれ感が足りない!と思った。とりあえず全部読んで、そこそこ面白くはあったのだけど…この物足りなさはなんだろう。主人公・怜の最後の青春の叫びにはものすごーく共感したけども。しかし、慎一って一体何者なの?とか、なんでイルクーツク?とか、謎が置き去り。物足りなさは残るものの、人情味溢れる商店街の描写はあたたかくて、こんな街、日本に現存してほしいなー、と思いました。
芦沢央

許されようとは思いません/芦沢 央

個人的には第二話が一番共感(?)しました。いやいや、普通ありえへんやろ!とツッコミをいれたくもなるのですが、主人公の心理描写がすごく緻密で、ついつい感情移入。同じ立場だったら絶対こんなことはしない!…とは言い切れなくさせるのがすごいなあ。 第三話は子育て中の人は読まない方がいいかも…。「自分は絶対虐待なんてしない」、と誰しもが誓って子どもを産むと思うのですが、その「絶対」がどれだけ脆いものか、手に取るように分かる作品です。子育て中のお母さんの心理が分かると思うので、逆に男の人に読んで欲しいです。
芦沢央

僕の神さま/芦沢 央

第一話ですごーくいい話!感動! で終わらないのがこのほんのすごいとこ。 「神さま」的存在の男の子、の友だち視点で語られているのだけど、 私的には、 神さま的存在 と同級生から言われることに対して、 彼はどう思っているのだろう…、と思って読み進めていました。 ラストあたりでそのあたりも彼の口から語られるのですが、それが全てではないような気もしました。 物語は次作に続く?のかな。期待!