井上先斗

イッツ・ダ・ボム /井上先斗

第一部は「日本のバンクシー」と騒がれる<ブラックロータス>を追うライターの視点。第二部は長くグラフィティをやってきた<TEEL>の視点。帯によると「新世代のクライム・ノヴェル!」らしいけどあんまりクライム感(って何)は感じなかったなー。まず...
ディーリア・オーエンズ

<ネタバレあり>ザリガニの鳴くところ /ディーリア・オーエンズ

すごい大作に出会ってしまった。家族に置いていかれ、村の皆から「湿地の少女」と蔑まれ差別されながらも自分で生きていく道を切り開いていくカイア。彼女に文字を教えたテイト、お金を稼ぐ方法を教えたジャンピン…実は助けてくれた人たちはたくさん居たのだ...
斜線堂有紀

ミステリ・トランスミッター 謎解きはメッセージの中に /斜線堂有紀

短編5編。『ある女王の死』冷徹な金貸し、榛遵葉が刺殺された。現場には血塗れのチェス盤。これはダイイングメッセージなのか?女王の壮絶な一生。『妹の夫』宇宙でワープする仕事に就いた荒城は、地球にいる愛妻の様子をカメラでしか見られない。しかし彼女...
飯村周平

HSPブームの功罪を問う /飯村 周平

「HSP」ブームの危うさについて、心理学的見地を述べた本。専門用語も沢山出てくるが、「自分はHSPなのでは?」と思った人に最初に読んで欲しい。少なくとも、怪しいビジネスやカルトに巻き込まれることは防げるかと。ところでちょいちょい気になったの...
芦沢央

夜の道標 /芦沢 央

虐待、いじめ、パワハラ…この手の社会問題を扱った小説が最近多過ぎて、最初のほうは(またこういう話か)と思いつつ読み進めていたが、最大のテーマは旧優生保護法だった。まずこのテーマでフィクションを書こう、と決めた作者の勇気に拍手を送りたい。(下...
三浦しをん

マナーはいらない 小説の書きかた講座 /三浦 しをん

コバルト(懐かし!)の新人賞短編部門に応募しよう、という人に向けた小説の書き方web連載をまとめた本。…とは表向きで、主にハイローとEXILEへの暑苦しいまでのパッションが溢れ出ているだけのような。最近三浦さんのエッセイ読んでなかったけど、...
夕木春央

方舟 /夕木 春央

山奥の地下建築へ探検に訪れた、かつての大学サークルの仲間たち。地震で出入口がふさがれ、脱出するためには、誰か1人が命を犠牲にしなければいけない。そんな中、殺人事件が起こる。犯人は誰なのか、犯人に生け贄になってもらおう──そんな空気が充満する...
寺地はるな

川のほとりに立つ者は /寺地 はるな

すれ違ったままの恋人がある日事故に遭い、意識不明に。彼の家で発見した3冊のノートには子どものような拙い字が並んでおり…序盤はミステリめいているが、物語の主軸は発達障害(特にLD)。なんだかなー、障害の有無に関わらず、相手を慮る精神があれば、...
「ふしぎ現象」研究会

大人も知らない? ふしぎ現象事典 /「ふしぎ現象」研究会

ヨシタケさんの表紙にひかれて。ふしぎ現象…というより、雑学本と言われた方がピンとくるかも。専門で勉強してる人しか知らんやろ、と思うようなマイナーな心理学や経済学の用語を子どもでも分かるように、簡潔に核心を突いた解説していて、勉強になる。(時...
新川帆立

令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法 /新川 帆立

「リーガルSF」と銘打たれているが、現代社会への皮肉がものすごくリアルで、思わず「SFとは」ってググってしまった。動物の命権(からの勘違い男!女をモノ扱いするんじゃないよ。怒)、手作りご飯信仰(でもそれを仕事にするとイライラし出す夫、現実に...