「方舟」が良かったので他のも読んでみたくて手に取った。
大正の大地震で一家全滅した絹川子爵の財宝を巡る華族間の奇妙で熾烈な争い。
もうこの時点で面白いの確定。
そしてなんと言ってもサーカスから逃げてきた少女ユリ子の奔放さ、頭のキレの良さに舌をまく。
ただの世間知らずなお嬢様であることに満足せず、自分というものを確立していく令嬢・鞠子も格好良い。
(というかこの小説、女性陣が全員強くて好き。)
この時代あたりの華族と庶民の隔たりや、価値観や言葉遣いってこんな感じだったのかなあ、と夢想するのも愉しかった。
おススメ。