虐待、いじめ、パワハラ…この手の社会問題を扱った小説が最近多過ぎて、最初のほうは(またこういう話か)と思いつつ読み進めていたが、最大のテーマは旧優生保護法だった。
まずこのテーマでフィクションを書こう、と決めた作者の勇気に拍手を送りたい。
(下手をすれば叩かれかねない。)
父親に当たり屋をさせられる波留。
加害者が被害者である構図が辛く重い。
阿久津の母親だって、そんなことしたくなかっただろうに…と思う。
暗い道を照らす唯一の道標。
それが間違いではない、と誰が思うだろう。
間違いだったと気付いた時の絶望は計り知れない。