辻村深月

辻村深月

ツナグ 想い人の心得 /辻村 深月

前作よりも起伏は少なく、その分、どっしりとした骨のある作品。親に弟子入りを許して貰えなかった、自分でもセンスがないと分かっている、それでも自分はやるんだ、という奈緒の強い信念に圧倒された。これから先何度でも心折れる瞬間があるだろう、それでも...
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ツナグ /辻村 深月

「使者(ツナグ)」に依頼すると、人生で一回だけ死者に会うことができる、というファンタジー設定なのに、まんまと泣かされてしまった。会えたとして、それが前を向いて生きることにつながるのか一生後悔を抱えて生きることになるのか。特に嵐と御園の女の「...
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鍵のない夢を見る /辻村 深月

皆真っ当に生きようとして、恥ずかしい思いをしたり、後悔したり、道を間違えたり。読んだ後「人間だもの。」(みつを)って呟いてしまう。どの短編も舌にいつまでも苦味が残るような、鍵のない夢を見たような後味の悪さがこの本の持ち味だろうか。りっちゃん...
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かがみの孤城 /辻村 深月

ファンタジーだと知らずに読み始めて、「ナルニアのパクりかよ!」と、放り投げてしまいそうになったけど、とりあえず最後まで読ませてしまう作者の筆力に脱帽。 家にも学校にも居場所のなかった昔の自分を思い出して胸が苦しくなった。 ちゃんとハッピーエンドで終わってくれてホッとしたけれど、現実世界に「お城」はない。 こんなにキチンと向き合ってくれる大人が居たり、たとえ居なくても、少しの希望を灯にして困難に立ち向かえる子どもはどれだけいるのだろう。 この本を読んで希望を抱ける子はまだ幸せだ。 と思う私はつくづくひん曲がってるなあ