いつか月夜 /寺地はるな

寺地はるな

父が亡くなった後、實成は得体の知れない不安「モヤヤン」にとり憑かれるようになる。

特に夜にやってくるそいつを追い払うために、とにかく歩く、歩く…。

夜のお散歩が習慣化した頃、会社の同僚・塩田さんが女性を連れて歩いているところに遭遇。

しかしその女性は塩田さんの娘でも親戚でもないらしい。

一緒に歩くうちに、ちょっと不安定な男と同居している様子の元カノ・伊吹さん、伊吹さんの住むマンションの管理人・松江さん、と何故か増える夜のお散歩メンバー。

それぞれに事情を抱えて、それが解決するかしないかは分からないけれどもなんとか生きていく、生きていくしかない、という切実さをタイトルに込めたのかな。

いつも月夜、とはいかないけれど、いつか月夜になりますように、と。
(「いつも月夜に米の飯」ということわざを恥ずかしながら初めて知りましたが。)

「善く生きる」とは、なんて永遠に答えが出ない問題に真っ向から向かっていくのが寺地さんらしくて良かった。

忙しい日々のあれこれに流されて「しょうがない」と置き去りにしがちな小さな、でも大事な違和感を丁寧にすくい上げてくれるところもやはり寺地さん。

これからも既刊新刊追いかけきれてないけど追いかけます…!

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